福岡市内の旧大名小学校跡地の起業家支援施設で24日、「Hagex」名義でネットウォッチャーとして活躍している会社員の岡本顕一郎さん(41)を刺殺したとして、警察は25日に出頭してきた無職の男(42)を殺人と銃刀法違反の容疑で逮捕した。
炎上ネタを扱う人気ブロガーが殺害されたという事実に、ネット上では悲しみの声があがっている。
■講演会直後に刺殺される
この施設では、24日に午後5時半から岡本さんによる「100万PVブログ達成への道」との講演会が行われていた。『朝日新聞デジタル』によれば、講演の終了したあと、施設内で待ち伏せしていた男が、トイレに入った岡本さんを刃物で複数回にわたって刺したとのこと。
また、2人は直接の面識はなかったとみられている。事件後、約3時間後に市内の交番に出頭した男は、「ネット上のやりとりで恨みがあった」などと供述しているという。
■「インターネット史に残る大事件」
ネット上のうわさ、話題、有名人の発言などの炎上ネタを自身のブログ『Hagex-day.info』で執筆していた岡本さん。「標的」となった相手の文章を添削したり、揚げ足をとったりとエンタメ的に楽しめるものや、ときにはタブーとも思われるネタを扱っていた。
そのジャーナリズム精神に多くのファンがいる一方、過激な発言から「いつか殺されるんじゃないか」などと心配されることも。岡本さんがとくに支持されていた『はてなブックマーク』では、報道を受けて「炎上ウォッチャーが怨みを買って刺されたとかだとマジで笑えない…」「嘘だろ。こんなことあっていいわけがない」「インターネット史に残る大事件」と驚きの声があがった。
さらに、追悼の念を込めて、さまざまなブロガーたちが岡本さんに関する記事を投稿している。
■事件直後に匿名で書き込みも
また、『TBS NEWS』によれば、事件後に『はてな匿名ダイアリー』に「おいネット弁慶卒業してきたぞ」「『こんなことになるとは思わなかった』なんてほざくなよ?」「これから自首してくる」といった書き込みがあり、警察は事件との関連を調べているという。
その投稿日付は男が出頭する直前のもので、岡本さんを含めたネット上の複数のユーザーから「低能先生」と言われていたことへの「返答」だと書かれてある。「低能先生」とは、はてな界隈で「荒らし」として話題になっていた人物だ。
その人物と容疑者の男が同一人物かどうかは定かではないが、警察が容疑者の情報を発表する前の投稿にもかかわらず年齢が一致していたこと、投稿時間と内容が一致していることから、「低能先生の犯行だったのか?」「おいおいおい……もし本当に低能先生だったとしたら、マジでネット界の大事件じゃねえか」と驚く声があがっている。
■他の炎上ネタウォッチャーにも影響?
インターネットと現実の境界線が曖昧になっている昨今。軽い気持ちでネットに投稿したものが、あらむ恨みを買うことも珍しくない。今回の岡本さんの事件を受け、他の炎上系ネットウォッチャーやYouTuberなどにも影響が出てくるだろう。
岡本さんの冥福を祈るとともに、二度と同じ事件が起こらないことを願うばかりだ。